世界卓球2014東京大会が終わりました。 日本チームは優勝することはできませんでしたが、多くの卓球ファンに感動と卓球の素晴らしさを伝えたのではないでしょうか。
日本代表選手として世界選手権という舞台にたどり着くだけでも賞賛に値すると思います。しかしながら「大舞台の一番大事な場面で結果を出す」ということは、アスリートに課せられた至上命題です。その点では、水谷選手がオフチャロフ選手に勝った試合や香港戦での平野選手の試合は、まさに結果を出した試合だったといえます。
特に、香港戦での平野選手は、勝てば2-1リードでエースの石川選手に回るという場面で、1セット目は5-0平野リードからの逆転で相手側にセットをとられ、2セット目も10-8平野リードから逆転されました。非常に苦しい流れでむかえた3セット目でしたが、3-8の劣勢からの逆転勝利。最後もセットオールジュースでの勝利でした。並々ならぬ勝利への執着心と、忍耐力がなした業のように感じました。
大きな大会でプレッシャーのかかった場面で重要になってくるのがサーブのコントロールです。入れるだけでは得点力がありませんし、切れ味も落ちてしまいます。平野選手の試合でもセットカウント2-2の9-8の場面で、鋭いロングサーブでの得点で10-8リードとした場面がありました。このサーブはネットだったのではないかという抗議が香港ベンチからありましたが、逆に言えばそれくらい低くてよいサーブが緊迫した場面で出せたということになります。勝ちやミスを意識するようなプレッシャーのかかった場面でのサーブのコントロールミスは、致命傷になりかねません。サーブの練習は、そのような場面でこそ得点力のあるサーブを安定して出せるようにするために行わなくてはなりません。
前置きが長くなりましたが、今回の動画は少しユニークなサーブ練習です。動画では中国の男子チームと女子チームがサーブのコントロールを競う団体戦を行っています。(かなり豪華な顔ぶれです。)野次を飛ばすなどレクリエーション的な雰囲気で行われていますが、この練習、少しアレンジすればかなりいい練習になるのではないでしょうか。
まずこの練習の重要なポイントは、サーブを出す人が一人で、それ以外の人は全員でそのサーブを見るということです。見られるということによって普段の練習とは違った雰囲気を出すことができ、緊張感も出ます。あとは、工夫次第です。たとえば、レベルに応じて的を小さくまたは大きくして行う、負けチーム全員に簡単なトレーニングなどの負荷をつける、3球連続あてるなど回数を設定すればミスに対する意識もより強くなります。また、対象が小・中学生などであれば、少しゲーム性をプラスし、的に当たったら1点ミスしたらー2点にして競わせるようにすれば、より集中力を引き出す事が出来るかもしれません。
全国大会の予選のシーズンが近づいてきました。ここぞという場面で安定したよいサーブが出せるよう、私のチームでもさっそく行ってみようと思います。
松徳学院中学校高等学校 足立泰志