超一流のスポーツ選手とは、優勝者とかメダルを獲った人ではなく、
多くの人を感動させることができる力を持っている人だと浅田真央のフリー演技を見て強く感じました。
フリーは自己最高点ながらも総合6位に終わりました。ショートプログラム16位の出遅れが響きました。しかし、世界の人々の感動を呼び起こしたのは確かです。
浅田真央がメダルも獲れなかった理由は何でしょう。色々なことが言われていますが、プレッシャーに負けたとかメンタルの問題にする記事は嫌ですね。何でもかんでも敗戦の理由をメンタルで片付けてしまうのは、技術指導のプロの私としてはいただけません。技術的な問題点が必ずある筈だと思い、色々と調べて情報を分析して考えてみました。
卓球界を眺めてみると、中国の馬龍が浅田真央と戦績的に似ています。馬龍は、数々の国際大会で優勝し世界ランクも1位です。しかし、オリンピックや世界選手権での優勝はまだありません。浅田真央もオリンピックでは勝っていません。
数年前、私はブログで「馬龍の違和感」というタイトルで馬龍の打法に違和感があることを書きました。反響がありました。「馬龍が一番強いぞ」「何がいけないんだ」とお叱りのコメントが多数ありました。確かに強く世界ランク1位に何度もなっていますが、世界チャンピオンにはなっていません。
2人の技術的共通点は、「基礎技術の問題」問題と言っても世界のトップ、高いレベルの僅差レベルの問題です。浅田真央は天才で小さい時からジャンプの天分に恵まれていました。その分、スケーティングの基礎技術を磨くことが不足していたのかもしれません。浅田真央がトップ選手の位置にありながらジャンプを控えてスケーティングの練習に明け暮れた時があるのは、基礎技術の見直し期間だったようです。馬龍のフォアハンドドライブは凄いパワーです。中・後陣からでもブッ飛ばします。しかし、打法の柔軟性と融通性の部分では、今まで世界チャンピオンになった中国選手と比べて劣るように思えます。この基礎技術の差が現段階で勝ちきれない原因でしょう。
二人は、パワードライブとジャンプという卓越した個性を持ち合わせています。しかし、基礎技術がしっかりしていないと【ルール変更】や【技術の進化】に対応するのが難しくなっていると私は分析しています。
もうすぐ、ボールはセルロイドからプラスチックになります・・・
平岡義博
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