(写真提供・卓球王国)
大矢 英俊選手(青森山田中学校~青森山田高校~青森短期大学~東京アート㈱)以下、ヒデ。
卓球には「戦型」があります。それは、攻撃選手であっても、自分の能力や長所に合わせて独自の卓球スタイルを作っていきます。時代の流れに沿って青森山田学園のほとんどの選手が「シェーク裏裏の攻撃型」でしたが、『「ヤマダ」の卓球は面白い!』と、私は感じていました。
前総監督の吉田安夫先生は「選手の個性」を一番に大切にされていました。大リーグに挑戦した野茂選手やイチロー選手の話を、よく選手に聞かせて下さっていました。
「基本となる最も大事な部分」に関しては徹底的に鍛え上げるものの、その選手のフォームを触ったり、得点能力部分を無くしたりは決してしませんでした。なので、みんな『違って』いました。
水谷選手はコート領域をいっぱいに使った攻守を兼ね備えた卓球。
松平(健)選手は多彩な台上プレーと前陣でのカウンタープレー。
丹羽選手は多彩なSVからのカウンタープレーとチキータからの速攻プレー。
高木和(卓)選手は、とにかくミスの少ない安定した両ハンドで相手を追い込む。
松平(賢)選手はアグレッシブに動き、自慢の体力を思う存分に卓球で表現する。
みんな、シェーク裏裏なんですが….。みんな違いすぎます(笑)。
書けなかった選手みんな御免なさい…。
そして、ヒデは、その「違った」選手の中でも、「異次元から現れたように」「規格外に」違っていました。
ある日は、もの凄い集中力と反射能力、気迫で練習しました。「集中力 +150%」
ある日は、疲れきって集中力が上がりません。「集中力 -20%」
「ヒデ、そんなに毎日の練習に差があったら、トップになれないぞ。」板垣
「先生。本当に集中すると、練習の後半は目がめちゃめちゃ疲れてくるんです。とにかく、人より速い打球点でプレーし続けるためには、目が疲れてくると集中できなくなってくるんです。」ヒデ。
ある日のトレーニング(朝のダッシュ)。もの凄い気迫で取り組みました。「集中力 +150%」
ある日は、疲れきって集中力が上がりません。「集中力 -20%」
「ヒデ、そんなに毎日のトレーニングに差があったら、トップになれないぞ。」板垣。
「先生。やる時はやりますよ!」ヒデ。
確かに、2005年世界ジュニア・リンツ大会男子団体決勝。2対1リードの4番で水谷選手が勝利した瞬間に、フェンスを倒し、水谷選手に抱きついた時のダッシュのスピードは、ウサイン・ボルトを思わせるスピードでした(泣)。
ある年の東北高校選抜大会男子団体、ライバルの仙台育英学園戦。トップに出場したヒデは、第1ゲーム、「集中力 -20%」。
「ヒデ、どうした。2ゲーム目、どうしていく?」板垣。
「…….。」沈黙のベンチコーチの後、とその時、俯いていたヒデが突然に、
「なるほどわかりました!」
「え?…..。」板垣。
2~4ゲーム目は雄たけび充分のゲーム内容で3対1で勝利(笑)。
個性が強いだけでなく、「しっかりとした基礎技術。」そして、「高速ラリーの中での圧倒的な凡ミスの少なさ。」、プレーヤーとして最も重要な「精神力の強さ。」を備えたヒデは、数々の国内のタイトルを獲り、2009年世界選手権横浜大会国内選考会では1位通過をし、日本代表として活躍しました。
また全日本卓球選手権男子シングルスにおいても2度の「第3位」入賞と、トッププレーヤーとしての地位を自らの手で確立しました。
(写真提供・バタフライ)
少し気になるのは…..。最近元気がないことです……。
同世代のオプチョロフ(ドイツ)選手やフレイタス(ポルトガル)選手が世界のトップ選手として活躍しています。
「ヒデ。ラケットを持っての年数はベテランかもしれないけど、まだまだ、下(年下)には負けられないだろ。貴方のプレーと勝利の瞬間のパフォーマンスを楽しみにして下さっているたくさんの卓球ファンの方々がいるんだよ。僕も大矢英俊ファンクラブの1人です。」
そして
「勝利のパフォーマンスをいつも期待しているよ。」
このブログを通じて伝えることができたら、また、やってくれると思います。
『野獣王子』は健在だと……….。
(写真提供・卓球王国)
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