町 飛鳥選手(青森山田中学~青森山田高等学校~明治大学)以下、飛鳥
「先生知ってますか?」
「飛鳥、何を?」
「『銀』は『金』より『良い』って書くんですよ!(笑)」
「本当だ!なるほど!」
平成19年4月初旬。神奈川県の名門、岸田卓球クラブから青森山田中学校の門を叩いてくれた飛鳥。恵まれた体格と小学校時代の素晴しい恩師の指導、暖かいご両親の愛情を受けて育った、まだ「あどけなさ」の残る少年の顔には間違いなく「こう」書いてあったのを、今でも鮮明に覚えています。
「 ニ ホ ン イ チ が ホ シ イ 」と。
これから数年間、仲間として、そして最も身近にいるライバルとして同年に青森山田中学校に入学してくれた、
・丹羽孝希選手(平成18年・全日本ホープスチャンピオン)(現、明治大学3年。以下、孝希)。
・吉田雅己選手(平成18年・全日本カデット13歳以下チャンピオン)(現、愛知工業大学3年。以下、雅己)。
「自分だけがまだ金メダルを取れていません。それを取りに青森山田に来ました。」言葉にこそ発していませんが、飛鳥は間違いなくこの強い決意で青森に来てくれました。
高校を卒業しても、平成26年~27年のインターハイに「雑用係り」として自ら来て現役高校生の日本一獲得を支えてくれる、心優しき(現在は)成年。
(平成27年度・大津インターハイの雑用を自ら志願して来てくれた飛鳥と選手たち。)
そんな優しき少年を「勝負に対する鬼」に変えるためには、強烈なライバルが必要だと思っていました。そして、飛鳥が(タイトルを)獲れば、孝希や雅己のお尻にも益々火がつき、ひいては、最強年代ができるだろう。勿論、世界で戦う選手たちに育っていくだろう。と。
「町くん。青森山田中学校の板垣です。今日から宜しくお願いします。寮(青森山田学園国際卓球センター)での部屋は112号室ね。あ。孝希と二人部屋だから。」
こうして始まった青森での生活。青森山田の卓球は不思議な一面を持ち合わせています。練習場では「バチバチ!」と音が聞こえてきそうな「ライバル心」を剥き出しにして練習をし、規定練習後に同部屋のライバルが「自主練習」に行ったのを気付けば「やばい、置いていかれる。俺も頑張らなければ。」
その半面、試合の勝ち負けを「ライバルのせい」にはしません。「負けたのは自分に何かが足りなかったから。」そうして、また研究と努力を繰り返していきます。
そんな卒業生たちは今でも凄く仲が良いと色んな所からの噂を耳にします。
(平成26年度・全日本学生選手権 ベスト4(4人)+ベスト8(1人))
こうして「高い志を持った」心優しき少年の青森での生活が始まりました。
(中編に続きます。)
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