Steger Bastian選手はドイツ代表として2度のオリンピックに出場したメダリスト。ティモ・ボル選手と同じ36歳ながら世界ランクも30台をキープしています。私たちのチームの州であるバイエルン州の出身であり、また邱コーチがフリッケンハオゼンで指導していた選手です。バースチャンは私にアジアとヨーロッパの根本の卓球感の違いや仕事として卓球をすることの意義なども教えてくれました。そして私が「若い私のチームは勢いに乗れば強いかもしれないが、今日のような試合を繰り返すこともあり得る。若い選手にとって一番大切な事な何なのか」と質問しました。
「世界選手権・オリンピック…サーブの時に手が震えるよ。色々なハプニングが起きて苦しくなるよ。でもそこで言い訳を作るのは心が負けている証拠なんだ。どんな場面でも「自分を信じてプレーする」ここだけが若い選手と僕との違いだと思う。36歳だけど体はまだオッケー。技術は何とかギリギリかな。でも辞める理由は全くないね。明日頑張ってね!」バースチャンは部屋に戻りました。
「サンキュー。バースチャン。」
昼過ぎに町に帰ることができ、昨日の試合の様子やバースチャンが教えてくれた話を妻にしてみました。
「そうだよね。若い選手と彼らの違いはそこだけだよね。」
高校教師として日本で勤務していた妻は、
「結局あなたがやらなければならないことは担任の学級経営と同じじゃない?彼らは力はある。彼らに細かい戦術も伝える。でもまだ彼らは不安なんだと思う。あなたと選手が同じ方向を向けば凄い力になるかもしれないけど、今はお互いに背中を突き合わせている状態だと思う。彼らにどんな言葉をかけるかが大切で、不安を取り除いて同じ方向を向ければチャンスはあるんじゃない?」
いつもは妻の話す言葉を3掛けで聞いて激怒されてしまう私ですが、スッと心に入っていきました。
「ありがとうね。少し休むよ。」
何となく今日の戦術が見えてきました。
「あっそうそう。今回のキーマンは広大兄ちゃん(平屋選手)だと思うよ。彼が救ってくれるんじゃない?まぁ直感だけど。」
【後編に続く】
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