チェコオープン本選二日目。
及川選手は中国の ZHENG Peifeng 選手に3対4で敗退しました。先週のブルガリアオープンでオプチョロフ選手を破っているZHENG選手は、昨夜研究したよりも強かったです。ただ、及川選手もゲームカウント1対3から3対3まで追いついた時のプレーはZHENG選手のプレーに対応し動きのキレもベストだったと思います。7ゲーム前半に勝負をかけた回り込みにほんの少しミスが出てしまいましたが、トッププレーヤーと五分の勝負に持ち込めるようになってきた及川選手は確実に強くなっていると思います。
今回注目している選手は
ZHANG Yudong 選手(中国)。他の若い中国選手がどちらかというと「淡々と」試合をし「淡々と」敗退していく中で、彼だけは違います。がっしりした体格に毎試合カラーの違うヘアバンドをし、得点を取るごとに声を出し自分を鼓舞しています。「勝利に対する執念」が伝わってきます。
そしてもう一人
ピッチフォード選手(イングランド)。世界卓球で日本から2得点を叩き出し、先週のブルガリアオープンでは馬龍選手にも勝利した彼は、今、乗りに乗っています。今日はZHANG Yudong 選手に4対3で勝ち、写真のガッツポーズ!
ワールドツアーの動画では確認できませんが実はピッチフォード選手のベンチに入っている人が彼を支えているように感じます。
女性の方で、噂によれば卓球経験者ではなく、メンタルコーチとか…。私のベンチでの声もうるさいと思いますが(隣のコートの方すいません..)彼女は私以上に声を出します。「チョ〜レ!チョ〜レ!!!」。予選1回戦でキリアン選手の隣で試合をしていたピッチフォード選手。彼女の応援には私もビックリしました。そしてゲームカウント1対1、0対5の場面でのタイムアウト。私もキリアン選手が試合をしているにも関わらず、つい隣のコートを見てしまいました。その話を試合後にある選手にしたら、馬龍選手戦も彼女がベンチに入っていたらしいです。ピッチフォード選手に魂を込めて応援しています。
そして今日本では全国中学大会が行われています。毎朝起きてすぐに結果を見ています。
私が卓球界で最も尊敬する先生の一人である、藤本先生率いる明豊中学校(大分県)が優勝候補の野田学園と愛工大名電に勝ち準優勝。正直ビックリしました。
フリー抽選となるインターハイ・全国中学の学校対抗では何度も明豊と対戦しました。記録だけ見れば大接戦ではなかったかもしれませんが、「この一本取らないと流れを持って行かれる!」という試合が何度もありました。そして藤本先生はいつも選手指導について優しく色々教えてくれました。どんなに青森山田の選手層が厚い時代でも明豊の藤本先生は常に警戒していました。それは「選手が本気で戦ってくる」のを肌で感じるからです。
試合後、笑いながら「板垣〜。今日は負けたけど次は分からんぞ〜。山田は最新兵器を持っていて、うちは竹槍軍団だ。でも竹槍には俺の愛情がいっぱい入っているからな〜。お前が隙を見せたら竹槍でも十分に戦えるからな〜」と声をかけてくださる藤本先生。選手を本気モードにさせられる数少ない名将の一人だと思います。今回の準優勝という結果も本当に尊敬に値します。
ブンデスリーグ1部でクニックスホーフェンは選手のランキングからすれば竹槍軍団かもしれません。でも、藤本先生のように「選手を本気にさせる」ことができれば、選手は徐々に竹槍から最新兵器に変わっていけると思います。
遠く離れている日本から勇気をもらったような気がしました。
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