昨シーズンの前半戦、王者デュッセルドルフのアリーナで及川選手はタオルを頭からかけてうずくまっていました。私が1,000人を超す観客の前で及川選手に大声で厳しく注意をしたからです。カールソン選手(スウェーデン/WR25位)にボコボコにされ試合を諦めて帰ってきたからです。
悔しくて後半戦では徹底的に研究しました。フルゲームまでもつれましたが最後は打つ手がありませんでした。
カールソン選手はヘラクレスのような体躯から放つパワードライブと「打つと見せかけて打たない」嘘の台上テクニックに秀でています。この「嘘」のレシーブとガチッとレシーブする「本当の」レシーブのカラクリの理屈がわかりませんでした。が、今日やっとわかりました。及川選手が私の子供達にお土産として持ってきてくれた「名探偵コナンvs怪盗キッド」がヒントになりました。
カラクリがわかった及川選手は全く迷うことなく、この2本で、
カールソン選手の戦意さえも喪失させました。近くで見ていても鳥肌が立つほどのハイパフォーマンスでした!
ただ試合は2対3で敗退しました。700人収容のアリーナに1,200人のお客さんが足を運んで私たちに力を与えてくれたこの試合…悔しいです。王者相手とはいえ、ティモ・ボル(ドイツ/WR3位)選手とアサー選手(エジプト/WR53位)が出場しなかったデュッセルドルフ戦は勝たなければならない試合でした。
【ハイライトビデオです】
1番は及川選手 vs アントン選手(スウェーデン/WR140位)アップダウンサーブの名手のアントン選手に対し、第1ゲームこそ失いますが、2ゲーム目からはガラリと戦術を変えて圧巻の勝利。
2番はマヨロシュ選手 vs カールソン選手。結果的に1対3で敗退しますが、マヨロシュ選手が1球でも多く粘ったことで私もカールソン選手のカラクリを見抜くことができました。
3番はキリアン選手 vs カマル選手。(インド/WR31位)前節でも単複2点を挙げたカマル選手は団体戦では無類の粘り強さを発揮するチームプレーヤーです。ジュースとなった第2ゲームを落とし流れを掴めないまま敗退。
4番のエース対決で及川選手がカールソン選手を圧倒し、いよいよラストのダブルス勝負へ。
キリアン・マヨロシュ組はアントン・カマル組に対し、フルゲーム9対10まで食い下がりますが、勝負をかけたマヨロシュ選手の台上バックハンドがネットにかかり死闘にピリオドを打たれました。
これで前半戦を終え11チーム中3勝7敗の9位。及川選手がすでに二桁勝利を挙げているものの、キリアン選手とマヨロシュ選手が勝ち星をあげられないと、当然ですがチームとしても勝利に辿り着きません。
「チーム」を勝ちに導くのが私の仕事。
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