2018-2019シーズンの最終戦がアウェイで行われました。相手は王者デュッセルドルフ。
「ティモ・ボル選手が出場する!」情報が入ってきました。過去3試合はティモ・ボル選手(ドイツ/ WR5位)は私たちクニックスホーフェン戦には出場しておらず、やっと【ヨーロッパの皇帝】と真剣勝負ができると思うと私も気合が入ってきました。現在の世界トップ選手の中で対戦相手のベンチコーチをしたことがない選手が馬龍選手(中国)張継科選手(中国)ティモ・ボル選手(ドイツ)の三人でした。
心の中では決まっていました「及川を最初にティモにぶつけよう!」と。そのためにはエースではなく、いわゆる相手のエースに当てに行く3番手扱いの選手になってしまいます。チーム関係者に相談したら「ミズキとティモが前半で対戦したらチームの勝つ確率は断然低くなるじゃないか」という声も。
「それは違う。ミズキは今シーズン、ヨーロッパ2位のイオネスク選手(ルーマニア)3位のフランシスカ選手(ドイツ)にも勝っているし、あとはティモ・ボル選手だけ。そして前節のカルデラーノ選手(WR6位)にもフルゲームだった。もし及川選手が勝てばチームは3対0で勝つ可能性すらある。何れにしても及川選手がエース対決でティモ・ボル選手に勝たないとチームの勝利は有り得ないと思う。そして僕の仕事はチームを勝たせることと同時に選手を強くすること。目の前に皇帝が現れたのにチャレンジさせない理由は、僕には全く見当たらないよ」
「わかった。コージ。お前がボスだ。お前が責任を持って決めてくれ!」
当日は少し早くデュッセルドルフに入り、日本食レストランの「RIKA」で昼食です。
デュッセルドルフのナショナルトレーニングセンター近くのレストランは、ここで練習したことのあるほとんどの日本人選手が足を運んでいます。
このボリュームで良心的な価格は最高です!(あまりに美味しそうで写真を撮る前に箸をつけてしまいました…)お店の方も試合会場に足を運んで応援してくださいました。
会場入りし、選手たちが「コージ、今日は俺何番だ?」と聞いてくるのに対し「まずは本当にティモ・ボル選手がコートに来るか確認するから待ってくれ。彼が出るのであればミズキは2番」
「本気か?」
「ミズキがティモ・ボルに勝てば3対0で勝つチャンスがあるよ。俺は冗談は言わない!」
デュッセルドルフのセンターコートでの試合は2回目。やっぱりこの【聖地】での試合は気持ちが高ぶります。
卓球をやっていて良かった。色々な方にお世話になりこのコートに立つことができるんだな、と試合前に感情的にさえなりました。
そして試合開始。
一番は及川選手 vs ティモ・ボル選手。
「及川、今シーズンの集大成だ。今まで学んだ心技体知の全てを出し尽くして、そして【楽しんで!】来ていいよ。ただ一つ、どんなにティモが
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板垣孝司監督
青森山田学園中高男子卓球部監督を経て、現在ドイツブンデスリーガ1部のヘッドコーチ。 これまで青森山田でオリンピック選手を始め、多くの日本代表を育ててきた。シェークハンズでは、初心者からトップ選手、ジュニア選手に有効な練習方法まで色々なテクニックを発信。
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