ドイツの試合には年間を通したブンデスリーグの他に、もう一つのトーナメント【Pokal(ドイツカップ)】があります。今日はベスト8決定戦のフルダ戦でした。ベスト4に入れば正月明けに最終リーグ戦があり大観衆の前で試合ができます。今年の目標の一つ目の試合でしたが、2つの試合をゲームオール9で負け、ドイツカップは終了してしまいました。
フルダはダブルカットの双璧Wang Xi選手がグルーンウェッターズバッハに移籍し戦力的には落ちるように見えますが、フィルス選手(ドイツ/WR40位)は健在、Pucar選手(クロアチア/WR32位)の成長が著しく2019世界卓球でもシュテガー選手、オプチョロフ選手に勝利しベスト16に入るなど、エースとしての十分な実力を備えてきました。この試合に勝利するためにはフィルス選手と及川選手が当たらないようにし、比較的相性の良いシュテガー選手で捕まえること。そして及川選手が前回負けているプッツァーにリベンジすること。キリアン選手が股関節の怪我のため出場できなかったためフィリップ選手の頑張りも重要なポイントでした。
オーダー交換で「えっ?シュテガーが1番手じゃないの?」と裏をかき及川選手を2点起用、3番でシュテガー選手がフィルス選手を迎えます。あとは1試合1試合全力を尽くすのみ..
1番 フォリップ選手 vs プッツァー選手。同じクロアチア出身の両選手の試合はフィリップ選手も食い下がり過去の対戦よりも内容は良かったのですが、ゲーム後半はプッツァー選手の貫禄勝ちでした。2メートルの長身ながらフォア前をチキータしてからのバックへの戻りの速さが神業的なプッツァー選手。しかもバックストレートにぶち込んでくるバックハンドのタイミングの速さは本当に驚異的なスピードです。
2番 及川選手 vs Fang選手(ドイツ)。コーチのお子さんでナショナルチームで練習しているFang選手は左利きでフォアのストップレシーブやツッツキが正確です。第2ゲームはジュースまで追い込まれますが、ここを勝ちきった及川選手が第3ゲームはフルスパート。11対1で勝利。
3番 勝負のシュテガー選手 vs フィルス選手。幾度となく名勝負を繰り広げている両選手の試合ですが、今日のシュテガー選手は「フィルス選手を捕まえた」ことが逆にプレッシャーなのかいつもより打ち急ぎ、逆にフィルス選手は「カットだけでは勝機が薄いのでリスキーに思い切った攻撃を入れていく」戦い方。勝負はフルゲームに持ち込まれますが、9対9からフィルス選手の神がかり的な3球目バックハンドドライブフルスイングが2球とも入り敗退。今日はフィルス選手の思いきりにやられました。カットマンなのにここまでリスクを背負って両ハンドともにフルスイングしてくるのか、と思わせる攻撃に気持ちが受け身になったのかもしれません。
後がなくなった4番 及川選手 vs プッツァー選手。プッツァー選手の特徴である「YGフォア前サーブからのバックハンド攻撃の展開」と「フォア前レシーブはチキータとバックストップを使い分けてくる」展開を徹底的に分析し及川選手に伝えて試合開始。今日の及川選手は本当に強かったです。プッツァー選手にチキータさせて狙う。ストップに対しては広角にストップ処理をし次球を待つ。フォア前YGはストップしすぎない。払えたらフォアにも払って堂々とフォア対フォアで勝負!今シーズン絶好調のプッツァー選手に3対0で勝利!
勝負はラストのダブルスへ突入。互いにまだ手探り状態のダブルス。第1ゲームを落とし第2ゲームも1対11で落としますが、ダブルスはまだまだここから勝負。Fang選手に対するサーブを横上に変え、コースもストレートを多くしフィルス選手の回り込みを防ぎ第3第4ゲームを取り返し勝負は最終ゲームに。点差を離されながらも9対10まで追いつきますが、最後にフィルス選手にフリックレシーブを決められ一瞬判断の遅れたフィリップ選手の返球をFang選手が打ち込み試合が終了しました。
【ハイライト動画です】
あと一点が取れず無念の一言です。どうしても正月の試合に出場したかっただけに大きな敗退でした。
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