試合前の選手・コーチ紹介で
「コージ・ハガキ」と紹介され、みんなが失笑し少し和んだ雰囲気から始まったこの試合。Itagakiの最初のIとtがくっついてHの発音になったようでしたが。
和んだ雰囲気から一転、泥々の試合がスタートするとは。。第1試合の最初のフィリップのサーブを注意された時から始まった嫌な予感。昨シースンもバースティーがことごとくサーブフォルトを取られた、このホールでの試合が脳裏をかすめました。
20:00試合開始
1番 フィリップ vs デュダ(ドイツ/WR38位)。サーブフォルトは取られたものの、喰い下がるフィリップに対し、デュダは後半から両ハンドのパワーのあるボールに精度が上がり1対3でデュダの勝利。
2番 シュテガー vs フェガール(オーストリア/WR87位)。立ち上がりからバースティーのフォアサーブが頭で隠れているとフォルト連発。フェガールのフォアサーブも明らかに左手で隠れているのに。それでも1ゲームを勝って帰って来るバースティー。第2ゲームもフォルトの連発。バースティが出したことのないバックサーブに変えた途端「16センチ上がっていない」と一発フォルト!さすがに切れました。「コージ、抗議はやめてくれ」というベンチに座っている選手の声に「俺はヘッドコーチだから抗議権があるんだ!」と言ってベンチを飛び出して、コート外で試合を見ていたメインレフリーに抗議に行きました。ドイツ生活初めての猛抗議でした。怒りが収まらないというより「戦う姿勢」を見せたい気持ちでした。抗議している間に第2ゲームを大逆転で勝ってきたバースティーは、そのままボコボコのバックサーブからでも試合に勝利!ベンチに帰ってきて「カモン!」と拳を上げたバースティー。普段は温厚で感情をあまり出さない彼の真の気持ちの強さを見た試合でした。
3番 キリアン vs ロブレス(スペイン/WR63位)。過去キリアンに2敗しているロブレスをまた当ててくるとは想定外でした。しかし今回のロブレスの気迫は凄まじく、フルゲームで敗退。
4番 シュテガー vs デュダ。第2試合でシュテガーのサーブをフォルトと判断した審判が副審に。すると全くフォルトを取られない試合になりました。全ての審判がフォルトを取るなら納得いきますが、特定の審判が偏った判定をされるとスポーツとして成り立ちません。前半戦では1対3で敗退していましたが、この試合のバースティーの気迫は凄まじく、3対1で勝利!
5番 キリアン・フィリップ組 vs ロブレス・フェガール組。世界卓球男子ダブルス準優勝のロブレスはブンデスリーグでのダブルスも驚異の勝率を上げていますが、どうやってロブレスのダブルスに勝つか。この戦術動画だけは何度も見返して作成しました。左利きのロブレスにチキータをさせたら100%ロブレス組のポイントなので、全部ロングサーブ。しかもミドルに出して意地でもフォアでレシーブさせる!迷ったらショートサーブでなくハーフロングサーブを出してプレッシャーをかけていく!フェガールには徹底的にバック潰し。
意地と意地のぶつかり合いの試合はゲームカウント1対2となり、第4ゲームも何度もマッチポイントを握られますが、ここからエッジボールが2回入り窮地を凌ぎます。第5ゲームは完全に戦術を支配したキリアン・フィリップが勢いに乗り勝利!
【 ハイライト動画です(審判に抗議に行っていたので全部の試合をビデオに撮れませんでした..】
試合終了23時30分。精魂尽き果てました….
勝ちもありますが負けもあります。でも勝ったから言えるのかもしれませんが、こういう試合は本当にやっていて辛いです。
ベイグノイシュタット側の方々さえも言っていまいした。もはやスポーツではないだろうと…。私も卓球のコーチ人生で初めて試合中に胃が痛くなるのを経験しました。
これでチームは4位に浮上しました。疲れてはいましたが、翌日クニックスホーフェンに戻り、午前中のジュニア選手の練習に顔を出しました。終了後に練習場の反対側のアパートから窓越しに話をしていたちょっと年上の女性の方たちが声をかけてくれました。「昨日は凄いファイトだったね!」と。コハルのお友達からも「昨日は勝ってよかったね!」と連絡が来たそうです。
深夜まで多くの人たちがライブを見ていてくれたんだなぁと、嫌な試合を忘れるほど心が洗われた気がしました。
プレミアムサービスで板垣孝司監督の卓球指導動画が見放題