(今日から10日連続でインターハイ編を配信します。)
8月7日(金)青森空港発17:00伊丹空港行きの飛行機にて大津入り。青森山田学園国際卓球センターから青森空港に向かうタクシーの助手席で、見事に晴れ渡る八甲田連峰を見ていると急に涙が溢れ出てきました。
「最後のインターハイなんだ….。」
後部座席に座っている及川・高橋に気づかれないよう流れる涙を拭きました。前年度のインターハイが終わったときに心に誓ったこと。
「選手には「次のインターハイが青森山田の最後」とは決して言わないようにしよう…と。」
平成26年度・甲府インターハイでの帰り道、この大会を三冠獲得で終えることができ、真っ先に脳裏に浮かんだことは「平成27年のインターハイをどう戦うか」という事でした。三冠王の坪井勇磨(現筑波大学1年)が卒業し、及川瑞基・三部航平・高橋 徹・一ノ瀬拓巳の団体メンバー4人のみとなる平成27年度インターハイ。過去の歴史を振り返っても、強豪校と言われたチームが何らかの理由により最後の年となったインターハイでは、「有終の美!全国優勝!」という結果を出したことがないことを知っていました。選手はその伝統の大きさを思い、想像を絶するような無言のプレッシャーがかかるのだと思います。
(写真提供:バタフライ)
「全日本ジュニアチャンピオンの及川、全日本ダブルス2連覇の三部がいたとしても、優勝することは簡単ではないだろう。だから決して「最後だぞ」という言葉は言わない。」心に決めていました。そして、誰も成し遂げたことがないことにチャレンジ!
大会が近づき、報道関係者、テレビ局関係者が青森山田学園国際卓球センターに来てくださいました。注目していただけることは光栄なことです。そして決まって、冒頭の「最後の……。」と質問をされます。「私は違うと思います。」そう答え続けました。
「インターハイは最後とか最後でないとかは全く関係がない。高校生にとって最も熱く、最も権威のある大会がインターハイ。三年生にとっては、いつの大会も最後の大会。青森山田にとって最後であろうとなかろうと、この大会の位置づけは全く変わりません。優勝しなければならないというプレッシャーを逆に土壇場での底力に変えて、笑顔で青森に帰って来たいと思います。」
そう答えながら、ほぼ計画通りに練習を終えることができ、大津に向かうことができました。一番心配していた怪我人を出さなかったことも大事な要素でした。一人の選手も欠くことはできない….。
数年前、町飛鳥(現明治大学3年)が世界ジュニア選手権の直前合宿で腰痛を訴え、本大会では満足にプレーできず、帰国して向かえた全日本卓球選手権でも不完全燃焼で大会を終えたとき、指導者として学びました。
「試合で最も大切なことは、今、焦って練習をやりこむことではなく、まずは、元気良く本番のコートに立たせること。」
そして、一年前から誓っていた約束も守ることができました。
「最後のインターハイだぞ。」たった一度すら言葉にしませんでした。
青森空港を離陸する飛行機からは、いつも見慣れた八甲田連峰が、「やるだけのことはやったんでしょ。もう勝負はついているよ。思い切って試合をしてきたら?」と語りかけているように思えました。
(次回、②「卒業生の応援と仲間達の活躍」に続きます。お楽しみに!)
(写真は八甲田のイメージ写真です)
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