平成26年度・甲府インターハイ。最終的に三冠王を獲得した大会でしたが、甲府入りの日から大会終了後に解散するまで、ミーティングは一度も行いませんでした。今までこの大会に向けてたくさんの準備をしてきた選手たちに今更、「心構え…..!」等と言うつもりは全くありませんでした。負けて一番悔しいのは間違いなく本人。勝って気を引き締めなければならないことを理解しているのも本人。この大会期間中は、そのタイミングではないと思っているからです。
平成27年度・大津インターハイもその考えを貫きました。明日の日程を帰りの車中で打ち合わせをして、「グループライン」に入力。時間やユニフォームの確認をするくらいです。そして何よりも「板垣の前から離してあげて、1秒でも早く休んで欲しい。」と思っているからです。連日、遅くまで行われ、翌日の準備をしなければならない選手たちにとって、最も必要な事は彼らに、「自分の時間」を早く与えてあげることだと思っています。
私もできるだけ早く就寝します。特に団体戦の決勝がスケジュールされている前日は20時には就寝する。「365日分の絶対に決めた1日。」これは自分のジンクスです。とにかく、選手同様に自分も「その瞬間」にベンチコーチが冴えるか。本当に五感を働かせて、目まぐるしく変わっていくゲームの流れを読み、確信のある戦術を与える。私の役目です。ただベンチで吼えている様に見えてしまうかもしれませんが(泣)。対戦相手の情報が乏しければ、練習場に行き、対戦相手の練習風景からゲームプランを構築する事もやります。そこまでやっても勝たせてあげられないときも何度もありました。
大会期間中、手伝いに来てくれていた町飛鳥(現明治大学3年)と車中で話題になりました。飛鳥は昨年もインターハイの手伝いに来てくれました。自分が高校時代は3年連続優勝し、昨年も勝利の女神?。現在インターハイ4連勝中。今年も勝たせてあげたいと、手伝いを快く受けてくれました。感謝しています。
「板垣先生、どれくらい貰ってますかね?」
「50は堅いだろうな。どうかな?」
「ないっすないっす(笑)!先生ないっすよ。100は超えてますよ。楽勝で(笑)。」
幸せの黄色いカードの事です…。(写真は今大会のものではありません。)
「累積でも出場停止にならないから、まだいいじゃん。」
「先生、サッカーだったら10年くらい出場停止喰らってますよ(笑)!」
「確かにな…..。」
絶対に勝たせてあげたい。勝たせなければならない。コートに立った時に一番不安なのは間違いなく選手自身です。だから、もし、自分が声を張り上げてでも彼らの心の支えになれるのなら、国内の大会であろうと国際大会であろうとどこでも戦えます(笑)。逆にあのやり方しかできない自分の力のなさは理解していて、もっと他の方法で選手を支えてあげる方法をずっと思案しています。。。5日間というインターハイの日程の中、毎年3日目の夜には声が出なくなります。今年も学校対抗が終わった3日目の夜に声が出なくなりました。夜、マサ(森薗政崇。現明治大学2年)からラインが入りました。「おめでとうございます!!声出しすぎでガラガラでしょうから、お茶でうがいしてくださいね!」と。25年北九州インターハイ、最終日のシングルスを前に声が出なくなった私にマサが声をかけました。「先生。お茶でうがいすると声出るようになりますから。明日も吠えてもらわないとダメですから..。」
中国の劉国梁総監督。あの一軍達が直立不動をせざるを得ない世界一のカリスマ監督。彼も何度もレッドカードを貰っているはずです。負けは許されない…..。
インターハイ出発前に何人かの方々からメッセージをいただきました。「板垣先生。アツい夏がきますね…。」と。「ご期待は裏切りませんので(笑)…。」
(続く)
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