(写真提供:日本卓球㈱)
気が弱く、すぐに妥協しそうになる私。何とかなるだろうと甘い考えで「石橋を叩く前に走りきろう。」としてしまう私。正反対の性格の持ち主は私の妻です(笑)。大会期間前も「本当に大丈夫なの?」「~だったらどうするの?」と私のマイナスイメージを「×10倍にして」私の気持ちを引き締めてくれます(笑)。正に「石橋を叩いて、先に私に渡らせて、安全を確認して、私が向こう岸から「大丈夫だよ~!」と手を振って、「やっぱ私、渡らない。」と階段を降りて行って舟で渡ってきて、「お待たせ!」と私に優しく微笑む性格の妻。
そんな妻もインターハイ期間中は気を使ってくれ、あまり連絡をしないでくれていました。
大会2日目、学校対抗準々決勝で勝利した後、何人かの方々からは「選手のプレーが硬いように見えるよ。」とアドバイスを頂きましたが、明日の学校対抗準決勝・決勝に向けて選手にかける言葉は決まっていました。
「大切なことは、勝って次のステージに進むこと。だから今日の試合はこれで良い。明日の午前中はシングルス1回戦で、誰も試合がないから、まずはゆっくり起きて疲れを取ろう。」
「そして、明日の準決勝からは入場行進があり、卓球台もフェンスに囲まれる。会場の雰囲気が整ったときにあなた達も僕もスイッチが入るよ。明日は素晴らしいプレーができるよ。」
「お休み!」体育館でのミーティング?は相変わらす一瞬。
大会3日目、応援席には山田の保護者達と、歴代このインターハイで活躍した卒業生達が大声援を送ってくれました。
学校対抗準決勝の長崎県瓊浦高校戦は、昨日までのプレーと明らかに違っていました。1番で三部がゲームオールの接戦をものにし、2番では高橋が中国人留学生に逆転勝ち。前日の学校対抗準々決勝では負けたダブルスも「全てのボールを狙って得点を取りに行く。」圧倒的なプレーでゲームを支配しました。
本来なら、応援に来てくれた卒業生に挨拶に行くタイミングでしたが、ヤマダ卒業生のグループラインに書きました。
「今は挨拶に行かず、あと1試合終わったら挨拶に行きます。」
学校対抗決勝戦。
最後はこのオーダー。青森を出発する前から決めていた、絶対に逃げないオーダーで勝負。
1番の三部は素晴らしいカット攻略を披露し、先取点を挙げてくれました。
2番の一ノ瀬は野田学園エースの青山選手に1ゲーム目を先取しましたが1-3で敗退。
「一ノ瀬。あとは仲間に任せよう。声が枯れるまで一緒に応援しよう。」
3番のダブルスが勝負。2ゲーム目に相手のチキータ外しに失点し、ゲームカウント1-1。流れを失いかけましたが、「まずは3ゲーム目をしっかり取ろう。」
(写真提供:バタフライ)
4ゲーム目、2ゲーム目に何故ペースを持っていかれたかは分析できていました。7-5、10-9マッチポイント。ここから青山選手の思い切りの良い攻撃に得点を挙げられ、逆転負け。ゲームカウント2-2。「勝負は甘くないな。今から今から。」心の中で自分に語りかけていました。
5ゲーム目も一進一退。1点を取るためにお互いが好プレーを連発。長いラリー。
どのカウントだったか記憶はありませんが、タイムアウト。
「僕らのチキータが待たれているように感じます。」
「ないない(笑)。違うよ。逃げるからだよ。日本で最も高い質のチキータで勝負だよ。」
9-8及川レシーブ。及川が青山選手のフォアに放ったチキータレシーブは最高の質でコートに放たれました。「絶対に取れない!」後ろで見ていて確信しました。
10-8及川SV、青山選手RV、三部3球目。青山選手が三部のミドルに放ったチキータを三部がフォアハンドでぶち抜き、ハイレベルなゲームに終止符を打ちました。
4番の及川は、かつて青森山田中学に在籍し、全日本カデット14歳以下シングルスでチャンピオンを獲得した沼村。いや沼村選手。強くなっていました。
お互いのボールを知り尽くした戦いは、先輩である及川が「攻めるところは一撃で。守るところは1球でもしつこく。」自分の持ち味を充分に発揮し、終始ゲームの主導権を握りました。
ゲームカウント2-0。3ゲーム目。
バタバタとしている中で妻に電話をした私。「勝ったよ。ごめん。今バタバタしてる。あとで電話するから。」
現地に足を運べず、インターハイライブTVで観戦してくれていた卒業生達が優勝したその瞬間、グループラインにたくさんのメッセージをくれました。みんな一言ではなく、長いメッセージを書いてくれました。
「ん? 一件だけ読んでいないラインが…..。」
妻からでした。
「天晴れ!」(え?)
不平不満を私に告げるときはあれだけ言葉を並べる妻。私に祝福のラインを送るときは3文字以上書かないポリシーなんだそうです(泣)。
(続く)
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