12月10日(土)11日(日)は心の重い週末でした。
クニックスホーフェンの第1チームはアウェーでのフルダ戦。この試合に勝てば5勝4敗になり上位進出への可能性を残すことができる大事な試合。
アキトとカズトは全ドイツジュニア選手権予選を兼ねたバイエルン州ジュニア選手権。
コハルは所属する2部リーグ Jena の前半戦の最終戦。
全てが大事な試合でした。
まず第1チームのフルダ戦は前回のブログで紹介した通り、バースティーの脅威的な大逆転勝利でチームは勝利することができました。
コハルがプレーするJenaは今シーズン、どこまで戦えるのだろうと手探りでスタートしましたが、前節で首位を走っていたチーム(中国選手3人の選手だそうです)に2対4とリードされているところから踏ん張り、5対4で回ってきたラストでコハルが勝利し首位に立ちました。
今節も勝てれば前半戦を首位で折り返し、夢である「1部昇格」が見えて来る大事な試合でした。
なんと6対0で勝ちました。
そして最も難関はアキト・カズトが出場したバイエルン州ジュニア選手権。
2週間前の全ドイツTOP24で推薦権利を得られなかったアキトは、この試合で優勝しないと3月に行われる全ドイツ選手権に出場できない可能性がありました。昨年は、推薦権利を持っていての出場だったので「負けても全ドイツには出場できる」というプレッシャーの少ない中での優勝でしたが、今年は状況が全く違いました。しかもアキトのライバル選手やTOP24で1対11で負けた選手も出場していました。試合前日もナーバスになり技術も心も重い状態で出発しました。私はブンデスリーグがあったため、全てを妻に任せて..。
アキトは予選リーグ3試合、決勝トーナメント1回戦まで1ゲームも失わず、準決勝のライバル選手にも3対0とリード。しかし準決勝から試合は7ゲームマッチ。3対3に追いつかれ最終ゲームは11対9で勝利。決勝は2週間前に1対11で負けていた選手に4対1での勝利。
2連覇し全ドイツ選手権への出場権を得ました。優勝を聞いた時は涙が出るほど嬉しかったです
帰宅した妻に「あの状態のアキトをどうやって勝たせたの?」と聞きました。
「私は細かい戦術は分からない。でも引き出しはあるはずだから自分で決断して試合しなさい」
というアドバイスだったそうです。開いた口が開きませんでした。私は「卓球ってこうだよね。トップ選手の点の取り方はこうだよね」と先入観に凝り固まっていました。ただジュニア選手にはそのアドバイスだけでは試合は勝てない。正直、頭にあったものがキレイに流れたようでした。「僕がベンチコーチだったら勝たせていなかっただろう..」
アキトは普段からどこか自信がないように思えることが多いので親としては気になっていました。ヨーロッパ人は根拠のない自信を持っている子が非常に多い。そこでなぜアキトは自信がないのか、妻は普段から悩んでいたそうです。結局行き着いたところは【決断の悪さ】食事一つ選ぶのにもすごく時間がかかる。なんでもこれで良いかなと相談してくる、そこが一番気になっていたそうです。良く言えば従順、悪く言えば自分の意志を持っていないので、【決断】を瞬時にすることを試合前から訓練させていました。
ドイツの大会でのダブルスはシングル出場者同士で組むシステム。3部リーグで竹谷選手と組んでそこそこ勝っていたのですが、即席のミックスダブルスと男子ダブルスでは結果出ませんでした。竹谷選手とは練習しているので勝てるが即席では勝てない。どのペアも練習していない。そうなるとアキトに原因があるということで、妻が数試合見て問題点が「試合が単調」。ダブルスで負けたあとはシングルでは単調にならないようにすることを考えさせたそうです。技術的なこともこれだけはやらなければならないということを2つに絞り、試合前の1分間練習でも徹底してやらせたそうです(カズトにも)
最近妻は「ベンチに入っていると試合中に強くなってるってわかるね。後半にサーブが良くなり効くようになる時は勝てる」と。コハルが先日2部リーグでドイツランキング10位だった選手と対戦して勝った時はサーブのキレが良くなったことやカズトが大人の試合で勝った時はサーブに力が出てきたと言ってました。今回決勝の最後のゲームでアキトサーブのトスのテンポとスピードが変わり、勝利を確証したそうです。
また以前はタイムアウトをどこで取ろうか一生懸命悩んだそうですが、それを宣言もせず「やめた」そうです。理由を聞いたら「コハルの試合でゲームオール4-5でタイムアウトを自分で取ってきたの!その時に、子供が自分のタイミングで取ることを覚えた方がいいかもと。こちらが取れば危ないから取ったんだなと思うし、そう思われたらアウト。自分がタイムが欲しいと思ったら冷静に判断している証拠」と考え方を変えたそうです。いつでもタイムを取って戻ってきてもいいようにだけアドバイスの準備をするようにした。今回カズトもアキトも3-8、4-8という状況から逆転したセットがあったそうです。大抵、早く勝たせたくなりタイムを取っていましたがいい流れを掴んだら見守ろうと決め、勝ち急がさせず自分で考えさせるように仕向けたようです。決勝の最終セットではアキトが自分でタイムアウトを取ってきて、それに対して対応することができたと話してました。
試合では挑発されて熱くなったシーンもあったようです。その時にメンタルが崩れないよう支えた妻やカズト、アキトを励ましてくれた友人や大人達には感謝です。
全ドイツの大会などでは「君のこれが良くて勝てなかった」と対戦相手が認める選手が多くて、挑発などは一切ありません。しかしこの大会はそれだけ意気込んできた選手が多かったということですね。。。
カズトも15歳以下で決勝に進出しましたが、決勝でダブルスを組んで優勝したパートナーに敗退して準優勝でした。「人生初の7ゲームマッチに心が折れてしまった。先の見えないマラソンのように感じてしまった」とカズト。負けたのは残念ですが、全ドイツ選手権に出場できる可能性を残しました。
妻の話では、準決勝直前に審判から7ゲームであることを伝えられカズトの顔色が一気に変わったそうです。ダブルス、ミックス、シングルの予選リーグ、トーナメントと緊張感のある試合をこなし、第2シードとはいえまだ12歳。歳上が多いので決して余裕はありません。半年前より体が大きくなりパワーアップした選手、練習をしっかりやりこんで強くなった選手もいて、なんとか乗り越えて準決勝まで行ったので、7ゲームであることを知ったときは驚きで肩を落としていました。1ゲーム目を見た限り「目に力がない。話も耳に入っていない。このまま私がベンチでは負けた理由を私のせいにするだろう(自己責任を認めない)」と思い、2セット目も落とした時点でアキトの試合が入ることを理由にクニックスフォーヘンの別の選手に代わってもらったそうです(この州ではベンチに数人入ったり途中交代は禁止されていません)ベンチに入ってくれたマキシミリアンはアキトの1歳下ですが真面目でカズトも妻も私も信頼しているので、彼に全てを託したそうです。結果ベンチ交換後セットを落とすこともなく4−2で勝ったそうです。カズトの性格は調子に乗りやすく甘えん坊。ベンチがマキシミリアンなら、負けた理由を彼のせいにできないから踏ん張るかもと賭けたそうです。決勝はアキトと同時だったのでマキシがカズトを引き続き見てくれるということで「君の思った通りベンチコーチして」とお願いしました。今までも負け続けていた選手で、結果は残念でしたが最後まで食らい付いて試合をしたそうです。負けた時マキシがカズトに「カズトは負けた理由を人のせいにしないんだね」と言ってくれたそうです。
カズトのベンチに入ってくれたマキシミリアンはミックスダブルスで3位入賞。
一緒に練習しているスベンニャとソフィー姉妹は女子ダブルスで3位に入賞しました。
冒頭にアキトの写真がありますが、同じカテゴリーで3位に入ったヤコブも一緒にシェークハンズクラブで練習をしているチームメイトです。
実は…
12月9日(金)に事件が起きました。
夜に携帯電話をト○レに落として水没させてしまいました(泣)。アキトとカズトを連れて大会会場近くのホテルに泊まっていた妻にパソコンから連絡すると、
「全ての悪い運を、あなたが使い切ったと信じよう」と連絡が来ました。
ブンデスリーグでは大逆転勝利、コハルのJenaも勝利、アキトとカズトも頑張り、携帯を水没させた甲斐がありました。
12月12日(月)携帯を修理に行きましたが、水没は最悪で、全てのデーターを復活させるのは不可能と言われました(大泣)
携帯のデーターも、私の凝り固まっていた卓球に対する考え方も、全て水に流れてリセットされました。
ただ苦しいからと言ってその都度携帯を水没させることはできません..
もし、私に連絡しているのに既読にならない方がいましたら、メッセンジャーやメールで連絡ください。
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