(写真提供:バタフライ)
昨日書いたボールの変化に最も対応しきれなかったように見えたのが及川でした。もともと回転量の多い「質の高い」ボールでチャンスを作るタイプの及川は、自分が「しっかりかけた」手応えのボールを打ち込まれる場面が多くあり、とうとう最後まで伸び伸びとした自信溢れるプレーをすることができませんでした。
アジアジュニアから帰国し、練習を再開した7月29日。一目見て、明らかに及川の打法は「詰まって」いました。アジアジュニアは打ち慣れていないボールで行われました。「フォアハンドの打点がばらけ、チキータが角当たりばかり…。」「インターハイ直前にどういう声をかけるべきか。徹底して調整するのか、本人が自然に調整してくるのを待つのか。」「辛抱辛抱。」「凡ミスが多い….。」
とうとう我慢しきれなくなり、Shakehandsで平岡氏から指導していただいた動画を見ながらボールを出してみました。
「ボールの走りが3分の1もない…。」焦る及川を見て「これ以上は焦らせないほうが良い。」と判断してそれ以上追及しなかった私の判断ミスでした。
出発前日、最後の練習の1コマの課題練習。及川は「チキータ見てください。」と自ら申し出てきました。「やろう!」約1時間以上、チキータのチェックをしました。
角当たりや、ラケットの先にしか当たらない原因を追究しながら、
「違う!」「違う!」「今の!」「それそれ!」
ようやく「しっかりと安定して」ラケットの真ん中に当たり始め「しっかり回転をかけて」及川らしいチキータが入り始めました。「チキータは間に合った….。」「あとは持ち味のフォアハンド….。」
学校対抗、シングルスの序盤、何とか負けずに次のステージに進むことはできました。しかし、及川のプレーに「らしさ」はありませんでした。攻守のバランス、回転量の多いボールを駆使しながら自由自在に両ハンドを使いこなすプレーにはほど遠く、「負けられない。」と焦って無理をして打球点を落としてしまう…。
シングルス準決勝。「ゲームカウント3対4で敗退。」1年生で2位。2年生で3位の本人にとって「優勝」以外は「負け」になってしまいました。
(写真提供:卓球王国)
技術的な敗因は「フォアハンド。」私が「なんとかなるだろう。」と甘く見てしまった及川の主戦技術。全てのゲームの中盤、SVが効いて「チャンスボール!」「凡ミス..。」
ゲームカウント1-3から、3-3に追いつき、流れを掴みかけた7ゲーム目7-8。
「及川がバックハンドで相手(左利き)のフォアを攻め、クロスに返したボールを回り込み!」
「捕まえた!!」と心で叫んだ瞬間….。「打ちミス…….。」
ブログで選手の失敗談を掲載するのは、正しい事ではないのは重々理解しています。でも、本人は敗戦後、報道陣に対し、こう答えました。
「一からやり直します….。」
彼の心に何が残ったインターハイなのか。
「プレッシャーがありました。」と答えるなら、それは甘い。出場選手みんながプレッシャーを感じる高校生にとって最も熱い大会なのだから。
「全日本ジュニアで優勝したので、慢心しました。」と答えるなら、それは大間違い。ジュニア優勝で慢心した先輩たちは誰もいない。過去の実績は全て過去。もっともっと先を見て精進しないと。
あえて本人には聞くつもりもありません。理由は簡単です。
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