WTTの試合が多く入り、約1ヶ月日程のあいた4月30日に今シーズンの最終戦がホームで行われました。対戦相手のムールハオゼンはすでにプレーオフ進出を決めており、クニックスホーフェンも6〜7位の順位が確定していましたが、それでも500人近くのお客さんがシェークハンズアリーナに足を運んでくれました。
WTTバンコク大会から帰国後も精力的に練習をしていたキリアンを1番に。やはり「バースティのプレーを見たい!」と多くのファンが来てくれているので2番にバスティ。今シーズン、ダブルスでは多くの勝ち星を挙げチームの勝利に貢献してくれましたが、シングルスでの勝ち星のなかったアレグロを3番に。
対するムールハオゼンは土曜日に行われるプレーオフに向けてイオネスク(ルーマニア/WR118位)とメンゲル(ドイツ)を温存し、ハーベソン(オーストリア/WR77位)ベルトランド(フランス/WR358位)キム(韓国)の布陣。
「勝っても負けても順位は変わらない.. でもやっぱり勝ちたい」この気持ちがなくなってしまったらコーチをする資格が自分から無くなります。「試合に集中!」
1番 キリアン vs キム。アジア選手らしいプレーのキム。サーブレシーブを厳しくし高速プレーをしようとしミスを連発し過ぎるキムと、落ち着いてキムのストラークゾーンを外し「ゲームを支配する」キリアンの試合は圧倒的なスコアーでキリアンの勝利。
2番 バスティ vs ベルトランド。ベルトランドのチキータとバックの高速カウンターを外しながらゲームを作っていくバスティ。私のアドバイスも少しは効果があり「ベルトランドのレシーブの癖」を見つけることができ、3対1で勝利。
3番 アレグロ vs ハーベソン。台から出るボールでの両ハンドの打ち合いには滅法強いハーベソン。うまくミドルを攻めて詰まらせてから勝負をかけたいアレグロでしたが、どうしても両コーナーにボールが集まり、強烈なボールを喰らってしまい1対3で敗退。
4番 キリアン vs ベルトランド。バスティーへのアドバイス同様のイメージで試合がスタート。ゲームカウント2対0、第3ゲーム4対4でベルトランドが2回サーブミスをし6対4。「勝負あったか?」と思ったところでキリアンが急に硬くなり、一気に試合がベルトランドに傾きます。最終ゲームも中盤までは互角でしたが、最後までボールに喰らいついたキリアンが執念の勝利!
マッチカウント3対1で勝利し、2022-2023シーズンを終了しました。
【 ハイライト動画です 】
「今シーズンは6位だったけどヘルパーチームは間違いなく1位だぞ!」と声をかけてくれる方々には本当に感謝です。
試合終了後は応援に来てくれていたアレグロの両親、バスティの両親らと食事です。勝ってからの食事は最高です。
近くの町の卓球クラブの子供達も会場に来てくれました!
ブンデスリーグの前日4月29日から車で4時間のハノーファで全ドイツ19歳以下選手権が行われアキト(17歳)とコハル(13歳)が出場しました。アキトが男子ダブルスで決勝に進出し銀メダルを獲得しました。
まずはペアを組んでくれたカールに感謝しなければなりません。カールは2週間前にコロナにかかり入院をしていました。退院後もあまり回復せず、4月24日(月)に練習を再開し「せっかくアキトと最後のダブルスに出場できるのだから、水曜日からクニックスホーフェンに行って一緒に練習し試合に出場するよ」と申し出てくれました。無理な練習はせず、ダブルスの練習と自分の体調管理に努めてくれ、準決勝は最終ゲーム14対12で勝利してくれました。
ドイツのジュニアの試合のライブは1台だけ。カールとアキトのダブルスの3回戦がライブコートでした。なぜかコメンテーターがバイエルンの選手笑(私の記憶では選手がコメンテーターするのは見たことがありませんので初の試みかも)。1人はオクセンハオゼンのコーチの息子ケビンと、もう1人はコハルとミックスダブルスを何度も組んでいるマテイ。マテイは前日アキトと同部屋だったそうで、色んな話をしたようで、それをたくさん披露していたようです笑。昨日のシングルで16で負けて悔しがっていたこと、カールが水曜日からクニックスホーフェンに来て一緒に練習していたこと、そしてなぜか私が土曜日の試合後に家に帰ったこと、、、十代の選手ですが臆せず堂々としかも内輪ネタに走らず試合のコメントしている姿は立派だと思います。
アキトのシングルスは崖っぷちからのベスト16でした。予選リーグ2試合目に敗退し「たくさんの事を色々な方に指導してもらったのに試合ができないアキト」に戻ってしまいました。予選3試合目はグループ第1シードの選手。ゲームカウント0対2となり予選通過はほぼ絶望的。「アキト。もう試合の勝ちはないよ。だったらこの1ゲームで次の試合に繋がるために何かを学ぼう。平岡さんにたくさん指導してもらったフリーハンドの使い方、肩の高さが試合中に変わっているのか、試合をしながら確認してみたら?どうせ勝ちは無いんだから。」とアドバイスし第3ゲームがスタート。10-8とリードするも10-11となり、あと1本でリーグ敗退..。このゲームをジュースで勝ち、ベンチに戻ってきたアキトは「試合中にどれだけ左手が動いていないのかが、卓球をしていて始めてわかった。ただ左手の動きだけ意識してプレーしていたらサーブもバックも入るようになった」と。第4ゲームは面白いように入り始め11対2。最終ゲーム序盤、負けている時に自分でタイムを取ろうとしましたが私が拒否。3対5で私がタイム。「ここで欲を出して戦術を伝えても勝てないよ。自分の体の動きを確認しながら最後まで喰らい付いていこう。」8対7と逆転し、中陣に下げられてもバックドライブで粘り9対7。ボールを拾いに来た時に「斜め下ブチ切れロングサーブで勝負ありだよ」と声をかけサービスエースで大逆転勝利。
ただアキトに2試合目で勝利した選手が隣のコートで試合をしていました。3対0で彼が勝てばアキトはグループ3位で予選落ち..
「お!1対1になった。でも3対1で勝ってアキトが3位かな?」と思っていたら何と3対2で勝利。ゲーム数たった1ゲーム差でアキトの予選通過が決まりました。
決勝トーナメント1回戦はTop24で敗退している選手でしたが、「勝ち負けは気にしない。試合をしながら自分の体の動きを確認して」だけのアドバイスで3対0で勝利。ベスト8決定では準優勝した選手に負けましたが、新シーズンの全ドイツTOP48への推薦権利を得たアキトは本当に喜んでいました。
卓球の指導者として30年近く生きていますが、こんなアドバイスをしたのは人生初めてでした。勉強になりました。
【 アキトの試合動画です 】
コハルの19歳以下への挑戦はベスト8と予想以上の活躍でした。トーナメント1回戦ではアンダー19ドイツ代表の選手に勝利し周囲を驚かせ、ベスト8決定では2歳年上のドイツ代表選手にゲームカウント0対2から11-9、14-12、11-9で大逆転勝ちしました。「ロレーナに今まで負けたのは1回だけだけど、その時はパパがベンチだったから、パパのベンチは絶対嫌!」と言われました泣…
ブンデスリーグから自宅に帰る途中でバスティと外で会いました。「シーズンは終わったけど、明日から少しだけ休養をした後は来シーズンに向けての練習を再開するよ!仁(上田)は何歳だっけ?30歳かな?卓球はここからだろ?彼と一緒にプレーするのが楽しみだよ!」と話してくれるバスティ。「今日の試合は勝って終われて本当に良かったね。たくさんのサポーターやスポンサーが来シーズンも応援してくれたら嬉しいね!」と語る真のプロフェッショナルのバスティがいる限り、上田も心強いと思います。
ブンデスリーグは終わりましたが、ジュニア選手たちの試合は夏休みに入るまで続くのでシェークハンズクラブでの練習はずっと続きます。コハルとボバのWTTユースコンテンダー。
5月1日に18歳になったアキトに、ボバのお母さんが作ったケーキを持って来てくれました。アキトも18歳になり上のカテゴリーのオープン戦に挑戦します。
とうとうカズトが出場します(まだエントリー段階ですが)。
コロナ時期に「気配を消す」ほどモチベーションが上がらなかったカズトですが、別人のように張り切って練習をしています。
「コハルの弟ってしか言われないから、自分をアピールしてくる!サインとインタビューで何と言うかは考えてある!」
そうです…。実力を上げるしかないのは理解しているようです。
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