宋 恵佳選手(青森山田中学 ~ 青森山田高等学校 ~ 中国電力)
山本 怜選手(青森山田中学 ~ 青森山田高等学校 ~ 中央大学)
庄司 有貴選手(青森山田中学 ~ 青森山田高等学校 ~ 専修大学)
卓球界において「グランドスラム」という言葉はあまり使いませんが、強いて言えば…..、
実業団では「前後期日本リーグ・総合団体・ファイナル4」。大学では「インカレ・学生リーグ・総合団体」。高校では「インターハイ・国体・選抜」という所でしょうか。
選手達に恵まれ、平成21年新潟国体では成年男子(張 一博・大矢英俊・松平賢二選手)監督として、平成25年東京国体では少年男子(森薗政崇・坪井勇磨・及川瑞基選手)監督として、平成26年長崎国体では少年男子(坪井勇磨・及川瑞基・三部航平選手)監督として優勝できました。
あと、2種目。少年女子と成年女子の監督として優勝できれば、卓球界でも誰も成し遂げていない珍記録を達成できる。そんな私に少年女子の監督としての機会が3度やってきました。
練習場は男子と女子では違いましたが、私は高校の授業を持っていて女子選手とも面識がありますし、当時は女子の選手も時々男子と練習するために、男子の練習場である「国際卓球センター」に来ていました。
1回目のチャレンジ!平成19年秋田国体
李 明明・松澤茉莉奈・森薗美咲選手。私がジャンケンで全て勝ち、全試合オーダーもドンピシャリ!決勝戦で大阪府に2-3で敗れました。1番の松澤選手が2-2・10-8リードから負けたのが痛かった….。でも、その後、松澤選手は全日本学生優勝、全日本3位、世界選手権出場など、大活躍をしてくれました。(今でも松澤選手には「板垣が監督の時は勝ってくれないんだよな。」と愚痴を溢しています。)
2回目のチャレンジ!平成22年千葉国体
森薗美咲・丹羽美里・庄司有貴選手。やはり決勝まで進みましたが高知県に2-3で敗れました。
なかなか届かない少年女子優勝……。
3回目のチャンスがやって来ました。平成24年岐阜国体。
宋 恵佳選手・山本 怜選手・庄司有貴選手
インターハイ準優勝チームのメンバーである3人とも実力充分な選手ですが、そう簡単には優勝できそうもない事情もありました。前年度の国体に出場していない青森県少年女子チームは、国体ではシードがもらえず、何とインターハイ優勝の大阪府と同グループ。しかも1試合目。大阪府に勝たなければ予選敗退が決定してしまいます。また、もう一つどうしても勝たせてあげたかった理由として、この年のインターハイ女子シングルス優勝の鈴木李茄選手が規定により国体に出場できなかったからです。責任を感じていた鈴木選手のためにも、何とか彼女達を日本一にしてあげたいと思っていました。
○宋 恵佳。ペンホルダー両面裏裏。
・長所。サーブが抜群に上手い。ペンの技術らしい台上のフリックとツッツキが切れる。(中国オープンでリュウシブンから何度もノータッチを取ったフォアハンドフリックが素晴らしい。彼女にしかできない技術。)回り込んでSV+3球目で思い切って攻めて行ける。
・課題。戦術がまとまらなくなると、急に弱気になるので、対戦相手を私が研究し、正しい戦術を与えて、競った場面でも迷ったプレーをする所が出ないように、思い切って戦わせたい。
○山本 怜選手。シェーク裏裏
・長所。両ハンドでの反応の早い高速ラリーに強い。バック対バックもOK。フォアのカウンターと逆モーション気味に放つフォアストレートは他の人とタイミングが違い素晴らしい。彼女にしかできない技術。
・課題。SV・RVの判断。SVの組み立てをしっかり指示する。RVは、特に判断に迷ったときのRVの考え方を細かく説明し、試合の大事な場面で使えるようになったら、ほぼ負けないはず。ゲーム終盤に自分のSVに相手が引っかかってバック前に浮いてきたとき無理にフルスイングしないで、中ぐらいの力でコースをつくように。
○庄司 有貴選手。カット
・長所。相手がミスをするまで粘りきれるカット技術とツッツキ技術。バックSVに特徴があり、相手に落ち着いてカットを打たせない展開に持っていけば面白い。
・課題。100本粘って、101本目にツッツキミスをしてしまう。得点を取るパターンを私自身がまだ彼女に明確に伝えてあげられていない事。
(有貴ごめん。前述の2人よりコメントが少なくて。カットだから細かく書けなくて。)
こうして個性溢れる3人の選手達と、日本一を賭けた国体が始まりました。
まず最初の作戦は「オーダーを決めるジャンケンは必ず勝たなければならない…….!」
(後編に続く)
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