最強のデュッセルドルフですが現在の複雑なシステム = WTTシンガポールと日程が重なっていたため、誰が帰ってきて試合に出場するのか。ボル(ドイツ/WR26位)ダン(ドイツ/WR10位)ケルバーグ(スウェーデン/WR14位)カマル(インド/WR35位)ともに勝ち残っていたので、一番最初に敗退したケルバーグだけが出場するのでは?と予想し選手とオーダーの準備をしていました。
前節でグルーンウェッターズバッハに1ゲームも取れず0対3で敗退し、SNSには「過去最低の試合だった。次からは巻き返す」と投稿したデュッセルドルフ。
「コンニチハ」とケルバーグ(アントン)が会場に到着し「やっぱり出場するな。今朝9時にデュッセルドルフ空港に到着したはず。アントン、シュトゥンパー(ドイツ/WR154位)Haug(ノルウェー/WR203位)かな。本来疲れているアントンが3番でも良いかもしれないけど前節の敗退があるからアントンがエースだろう」と考えていると
「ハイ、コージ!」ダンも帰国。
「負けられないからHaugの出場はなしだな」
クニックスホーフェンはJinが腰に不安を抱えていたため、バスティーがエース。Jinが3番手。フィリップが2番手。
最初の練習で額から脂汗の出ていたJinに「無理しなくて良いぞ」と声をかけましたが「体が温まってきたら大丈夫です。テーピングも巻いてもらいましたし。何より試合に出たいです!」というJin。
ダブルスの名手のJinではあるが、シングルスの試合終了後にアレグロとのダブルスに出場するか決める、というオーダー。
ドイツ卓球の聖地 デュッセルドルフのメインコートで19:00試合開始。
1番 JIn vs ケルバーグ。動いて試合を進めようとせず、台上で仕掛けて先手を取りポイントを重ねるJinが1,2ゲームを先取。疲れ、時差、WTTとは異なる卓球台、ボール。なかなか調子が上がらないケルバーグですがブンデスリーグの勝負強さは折り紙付き。ここから巻き返されるか?と感じていましたが第3ゲームも完全にJinのペース!細かいプレーからの堅実な卓球が持ち味のケルバーグを、更に上回る台上技術の幅広さを見せたJinが大きな先取点!
2番 バスティー vs シュトゥンパー。お互いにバックハンドの強い2人の対戦は最終ゲームに突入。最終的に「止まる」卓球台に苦しんだバスティーが長短の長さに対応が遅れ2対3での敗退。
3番 フィリップ vs ダン。快速ロングサーブで1ゲーム目をフィリップが勝利。すかさずダンが縦回転サーブから台上の勝負にチェンジしゲームカウント1対1。いつもならここで崩れるフィリップでしたが、縦回転サーブを落ち着いてレシーブし始めゲームカウント2対1とリード。
「フィリップ。ロングサーブを狙い打たれて、次に弱気になったらフィリップじゃない。最後までフィリップ・ゼリコのプレーをしよう」と送り出した第4セット
中盤まで点差が離れず
7対7でロングサーブからの高速ラリーでフィリップがポイント
8対7でダンの回り込みフォアドライブレシーブが炸裂し、会場がどよめく
9対9で再びフィリップのサーブ。
「行け!フィリップ!」私が心の中で呟く
ここで2本ともロングサーブを使った強気のフィリップがダンから金星!
4番 バスティー vs ケルバーグ。次々をサーブを変えながら隙のないプレーが蘇ってきたケルバーグに1対3で敗退。
5番 Jin・アレグロ vs ダン・Haug。Jinのダブルスは今シーズン初出場でしたが、ダブルスの練習量の多いアジア選手と試合だけ行うヨーロッパ選手ではダブルスにおけるレベルは格段に違うと確信を持っていました。またアレグロのダブルスも強い。もちろんダンのダブルスのレベルは高いですが若いHaugがどれだけできるのか?そこを見分けられれば99%の確率で勝てると思っていました。
ゲームが始まり、Haugは無理せずダンが点を取りに来る。そのボールをJinが鮮やかなカウンターを連発!第2ゲームこそ接戦になりましたが、ここでもJinのストレートへのチキータがノータッチで抜け勝利。第3ゲームはアレグロの好プレーも出始め一方的な試合に!
マッチカウント3対2で勝利し今シーズン10勝目。リーグ3位をキープしました。
【ハイライト動画です】
「お互いに左利きの選手の出来が勝負だったのでは?」と試合後に言われましたが「WTTでも男子ダブルスでタイトルを取っているアレグロのダブルスでの信頼感は群を抜いて違いますよ」と答えました。
試合後、旧知の仲であるダンが「コージ、今日はクニックスホーフェンも素晴らしいプレーだったけど、僕らは苦しかった」と。
「うん。重々承知しているよ。次、頑張ってね」と答えました。
今シーズンはオリンピックイヤー。選手はランキングを上げるために数多くのWTTトーナメントに出場する。ビッククラブになればなるほど、選手がトーナメントに出場する確率は高い。練習ができず移動、時差、異なった卓球台、ボール。
クニックスホーフェンはシュテガーとJinがブンデスリーグに集中してくれる。フィリップとアレグロはWTTに出場しているものの不満を一切言わずリーグに出場してくれる。
いくらトッププレーヤと言えどその差は本当に大きいと感じた試合でした。
別れ際、バスティーに「今日は2敗してしまったけど、次の試合ではバスティーの勝利が絶対に必要になる。まずは疲れをとって徐々に試合に合わせて欲しい」と伝えると「木曜日に用事がありイベントに招待されているから行くよ」とバスティー。
ここはバスティーには休養を取ってもらわなければならない。今日はJin、フィリップ、アレグロがヒーロになったけれど、次節のグレンツァオ戦ではバスティーの勝負強さがチームの勝利への絶対条件
「バスティー。僕がバスティーが欠席して代理選手で大丈夫か相談してみるよ。火曜日までには結論を伝えるから」
今日の勝利はダンの言う通り、選手は素晴らしいプレーをしたのは確かだけど、選手のコンディションが悪ければ、どんなに頑張ろうとしても力は発揮できない。
「今日2敗したバスティーは、チームが勝ったからといって全て嬉しいはずがない。次節では必ず勝負強さを発揮してくれるはず」
次節は4位に浮上したグレンツァオとの直接対決。プレーオフ進出に向けた生き残り合戦です。
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