デュッセルドルフ戦からJinと月曜日に帰宅し、木曜日に行われたイベントにはJinと私とクニックスホーフェンのジュニアチームで出席しました。関係者には現状を理解していただき本当に感謝です。
「しっかり休養を取った後、良い練習を再開できたよ」とバスティー。
今シーズン最後のアウェーマッチがグレンツァオで行われました。グレンツァオは若いフェン(台北/WR95位)がここまで17勝7敗とリーグ1位の勝率を誇り、フェンの2点、そしてクビック(ポーランド/WR100位)ボーカー(イングランド/WR210位)そして2人のダブルスで何とか1点の戦い方で波に乗っています。
フェンと比較的相性の良いフィリップが2番。Jinはここまで世界ランク上位者に勝利しているものの、向かってこられる選手には苦戦中。バスティーはフェンとの勝負ではなく、確実にヨーロッパ選手に勝利してもらい最悪ダブルスに持ち込みたい。ダブルスはアレグロとJinがベストだが、今回はJinがエース。ダブルスはアレグロとバスティー。
19時試合スタート
1番 フェン vs フィリップ。過去に勝利したことのあるフィリップでしたが勝負どころで出してくるフェンの質の高い下回転サーブに対し勝機を見出せず0対3で敗退。
2番 ボーカー vs Jin。ITTF国際大会では負けているJinにとっては嫌な相手。しかし落ち着いたサーブレシーブと勝負どころで見せる思い切ったプレーが噛み合い3対0で勝利!Jinにとっては鬼門であった「相手チームのエース」ではなく「相手チームの3番手」に勝利しマッチカウントを1対1に戻します。
3番 クビック vs バスティー。第1ゲームを取り第2ゲームも10対7とリード。ここでバスティーのオーバーミス?したボールを台上でボレーした?しない?で一旦試合が中断。「嫌だな」と感じてタイムを取ろうとしたが取りきれず、逆転されてしまいゲームカウント1対1に。第3ゲームからはクビックの元気の良さが蘇り、最終ゲーム3対7まで追い詰められます。しかしここからサーブをバックへの下回転に変え、回り込み3球目で得点を重ね8対10。電光石火のカウンタードライブが炸裂し10対10!最後はクビックのフォアフリックがオーバーしゲームセット。
「バスティー!バスティー!バスティー!」
クニックスホーフェンからバスで応援に来てくれた50人の応援団の鳴り止まぬバスティーコール!
4番 フェン vs Jin。パワー勝負のヨーロッパ選手よりもアジア選手に強さを見せるJinが第1ゲームを取りますが、徐々にJinのサーブレシーブに対応し始めたフェンの勢いが止まらなくなり1対3で敗退。
5番 バスティー・アレグロ vs クビック・ボーカー。
台上の細かい勝負に持ち込めば勝機ありと読んでいた第1ゲーム。ことごとく大きな打ち合いに持ち込まれ2対8。しかしここから丁寧にボールを繋ぎ左右のコンビネーションプレーで得点を重ね大逆転。
第2ゲームはボーカーのチキータレシーブが手をつけられなくなり完敗。
第3ゲームは第1ゲームと同じ組み合わせで苦しみながらも11対9で勝利。
第4ゲームはボーカーのチキータレシーブを外すため速いロングサーブ、サイドを切るサーブも混ぜましたが全てバックハンドで打ち抜かれ完敗。ただ1球だけ下回転ロングにだけは詰まったレシーブ。
「チェンジエンドするまでが勝負」とスタートした最終ゲームも前半で離され3対5でチェンジエンド。3対6になりタイムアウト。
「次のアレグロのレシーブは任せる。ただ4対6か3対7になったアレグロのサーブは、ボーカーに対し勇気を持って下回転ロングを出してくれ。ノーモアチョイス(他に選択肢はない)。バスティーはクビックのフォアに打ってもカウンターに捕まってしまう。全てのボールをミドルに打ち込んでくれ」
3対7でのアレグロのサーブに対し、今まで一度もミスしなかったボーカーがチキータミス。次に下回転ロングサーブもレシーブミス。
「たった2球で流れが変わった」
バスティーがクビックのミドルにしつこく打ち込み、アレグロの執念のフォアドライブも蘇る。
10対8と逆転し、もう一度アレグロのサーブ。
最終ゲーム中盤までノーミスだったボーカーのチキータがオーバーミスし死闘に終止符がつきました。
【ハイライト動画です】
今までの長い指導者人生の中でも、これだけスリリングな試合は記憶にありませんでした。言葉が出ませんでした。
前節のデュッセルドルフ戦で2敗したバスティーが、このグレンツァオ戦ではキープレーヤーになる。その直感は当たりました。
あの絶体絶命の場面からチームを勝利に導く。バスティーが私たちの思いに応えてくれた大一番でした。
これでチームは11勝7敗。残り2試合。「2試合のうち1試合勝てばプレーオフ」と新聞に載りましたが、その2試合とも簡単に勝てる試合ではありません。ここからはライバルになっているチーム同士の試合もあり、少しずつ最終地点が見えてはきますが、ここから目標に到達するまでの道のりが一番厳しいのは、私自身が一番わかっています。
選手とのグループラインには「今日の試合は素晴らしかった。ありがとう。今ようやく高い山の25%地点まで登りました。次節でも元気な姿で会いましょう」とメッセージを書きました。
日本で経験した沢山のことを、ここから生かし、残り2試合を悔いの残らないように戦いたいと思います。
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